コーヒーらしい苦みとコクを味わえる「深煎りコーヒー」。近年のサードウェーブコーヒー人気で、何かと浅煎りに注目が集まりがちですが、深煎りも負けてはいません。今回は、昔からファンの多い「深煎りコーヒー」の魅力に迫ります。

コーヒーの焙煎とは

深煎りのコーヒー豆

収穫したばかりのコーヒー豆(生豆)は青臭く、コーヒーらしい風味はまだありません。生豆に熱を加えて煎ることを焙煎といい、焙煎処理をすることでコーヒー独特の風味が生まれます。焙煎はコーヒーの味を決める重要な工程と言えます。

コーヒーの焙煎度は大きく分けて3種類

コーヒーは、焙煎する時間の長さ(焙煎度合)で、その味に違いが出てきます。焙煎度合を大きく分けると、浅煎り、中煎り、深煎りの3種類に分類されますそれぞれの特徴を見ていきましょう。

浅煎り 

焙煎の時間が短く、コーヒー豆の色は、黄色っぽいシナモン色をしています。苦みは控えめで、コーヒー豆本来のもつ甘みや、フルーティな味わいを楽しめます。コーヒーの酸味が好きな人にもおすすめです。

口当たりが柔らかく、飲みやすいコーヒーですが、実はカフェインやポリフェノールが一番多く含まれるのもこの焙煎度なのです。カフェインやポリフェノールは熱に弱い性質があり、焙煎時間が長くなれば、その分だけカフェインの成分も抜けてしまいます。

昨今、サードウェーブの流れもあって、浅煎りコーヒーは、ジワジワ人気上昇中です。

中煎り

酸味、甘み、苦みのバランスが良いとされる中煎りコーヒー豆。ほどよい苦みに、コーヒー豆本来の味わいも感じられるバランスの良さが、日本人の口に最も合うとも言われます。市販されているコーヒー豆や、お店で提供されるコーヒーも、この中煎り豆を使ったものが多いです 。コーヒー豆で迷ったら、まず中煎り豆を選ぶと良いでしょう。

深煎り

さらに焙煎の時間をかけていくと、深煎りのコーヒーができあがります。コーヒー豆の色は黒っぽく、表面にコーヒー脂が浮き出てツヤツヤ。苦みが強く、コク深い味わいが特徴的で、コーヒーらしいコーヒーと言えます。濃いコーヒー味は、ミルクやキャラメルなど、甘み成分のあるものとも相性抜群です。

その見た目と味わいの印象から、カフェインが多く含まれていそうですが、実はカフェインは3つの焙煎度のうち、一番少なめ。カフェイン摂取を控えたい人や、ミルクやキャラメルなどを加えて飲みたい人は、深煎りコーヒーを選ぶと良いでしょう。

深煎りに合うコーヒー豆の種類は?

深煎りのコーヒー豆

コーヒー豆を深煎りまで焙煎すると、加熱による香ばしい香りが強くなり、豆本来の香りの特徴は薄らいでいきます。そのため、フルーティな香りなどの酸味を特徴とするコーヒー豆は、浅煎りまたは中煎りにするとその個性がよりわかりやすく感じられるでしょう。

一般的には、苦み成分がもともと強いものや、酸味や甘みが突出し過ぎずバランスの取れたものが、深煎りに適したコーヒー豆とされます。

ブラジル産コーヒー豆 

ブラジル産のコーヒー豆は、クセが少なく飲みやすいため、世界中で愛飲者の多い銘柄。全体のバランスがよく、ブレンドのベースとしてもよく使われます。ブラジル産のコーヒー豆を深煎りで焙煎すると、甘みと苦みがほどよく出て通好みの味わいに。

インドネシア産マンデリン

インドネシアは世界有数のコーヒー産出国ですが、主に栽培されているのはロブスタ種。一方、インドネシア・スマトラ島で栽培されているマンデリンはアラビカ種で、インドネシア国内でもその生産量はわずか数%程度です 。希少価値が高いうえに、品質も良いため、高級銘柄となっています。豆自体の味は、酸味が少なく、やわらかい苦みとコクが特徴です。マンデリンは、深煎りで焙煎するとその特徴を最大限発揮できるとされます。

グアテマラ産コーヒー

日本でも人気の高いグアテマラ産のコーヒーは、香り豊かで力強くも優しい味わいが特徴です。グアテマラは、中米の中でも特にコーヒー栽培に適した地形や気候をもち、4000m越えの山岳地帯にもコーヒー 農園が点在します。フルーティな酸味は、深煎りにすることで豊かな甘みに変化し、コク深い豊潤な味わいを生み出します。

深煎りコーヒーをおいしく飲む方法

コーヒー豆とチョコレート

深煎りの味わいが好きな人も多いでしょう。ここでは、ブラックで楽しむほか、深煎りコーヒーの魅力を引き出すおいしい飲み方をご紹介します。

ミルクとの相性抜群!カフェラテやカプチーノに

深煎りコーヒーはミルクとの相性が抜群。深煎りコーヒーの強い苦みにミルクやクリームを加えると、コクのあるまろやかな味わいに変化します。カフェオレやカフェラテ、カプチーノなど、ミルク系のコーヒーを作る時には、深煎りのコーヒー豆がおすすめです。

キャラメルやチョコレートソースなどを加えてアレンジコーヒーに

深煎りコーヒーは、ミルクだけでなく、キャラメルやチョコレートなどとも好相性です。カフェラテのトッピングとしてキャラメルやなどを加えても、深煎りの濃厚なコクは打ち消されることはなく、コーヒーの味わいそのままに甘めのコーヒーを楽しめます。まさに、深煎りはアレンジコーヒーに最適な焙煎度と言えます。

濃厚スイーツのお供に

甘いお菓子にも負けないコーヒーなら、力強い味わいの深煎りが最適。ガトーショコラや濃厚チーズケーキ、チョコレートパフェやアイスクリーム、和菓子など、こってりしたスイーツを楽しむ際には、ぜひ深煎りのコーヒーを合わせてみましょう。香ばしいコーヒーの苦味と甘いスイーツで至福のひと時が味わえること間違いなしですよ。

アイスコーヒーにも深煎りがおすすめ

アイスコーヒーは、お湯でコーヒーを抽出後、氷を沢山入れて冷却して作ります。氷で薄まってしまうため、使うコーヒー豆は、深煎りのものがベストとされます。また、水出しコーヒーの場合も、深煎り豆を使うと安定しておいしいコーヒーが作れます。

水出しコーヒーの場合は、浅煎りや中煎り豆でも、さっぱり味のおいしいコーヒーが作れますが、調整加減が難しく、特に初心者の人は、深煎り豆を使い、慣れてきたら、浅煎りや中煎り豆にチャレンジしていきましょう。

深煎りコーヒーを自分流にアレンジして素敵なひとときを

ブラックで飲んでもよし、ミルクやキャラメルを加えてもよし。アレンジ自由自在の深煎りコーヒー。その日の気分やシーンに合わせて、コーヒータイムを充実させて下さいね。


カテゴリー: 焙煎