ネルドリップとは、布製のフィルターを使用したハンドドリップのことで、濃厚でコクの強い味わいが楽しめます。とはいえ、ネルドリップはペーパードリップと比べて手間がかかるので、ハードルが高いと感じてしまう人も多いでしょう。今回は、そんなネルドリップの淹れ方と、気をつけたいポイントを解説します。

ネルドリップの特徴

洗って再利用できる

ネルドリップとは、布製のフィルター「ネル」を使ったコーヒーの抽出方法のことです。ネルは、柔らかくて軽い毛織物のことで「フランネル」を意味しています。ネルフィルターは、一般的なペーパーフィルターと異なり、洗って再利用できるのが特徴です。

濃厚でコクのある味わい

また、ペーパードリップと比べてお湯がゆっくりとフィルターを通過していくため、雑味が抑えられ、より濃厚でコクのある味わいへ仕上げられるというメリットがあります。

ネルドリップの淹れ方

ネルドリップも、ペーパードリップと基本的に淹れ方は同じです。しかし、ネルフィルターを使うため、はじめは手間取ってしまうかもしれませんね。難しくはありませんので、手順を追って丁寧に淹れてみてください。

1.フィルターと必要な器具の準備

ネルドリップに必要な器具は次の3つです。

  • ネルフィルター
  • ネルフィルター専用サーバー(普通のサーバーでも可)
  • 細口ドリップポット

必要な器具がそろったら、ネルフィルターの下準備をしていきます。

※新品のものを使用する場合は、ネルに付着している「糊」をコーヒー液で沸騰して溶かす「糊おとし」という作業を行う必要があります。糊おとしについては詳しく後述しています。

「糊おとし」が終わったら、ネルを絞って水気を取り除きましょう。

2.ネル・コーヒー粉をセットする

下準備が終わったら、ネルフィルターとコーヒー豆をセットします。コーヒー粉をセットする際に、真ん中を少しくぼませておくと全体にお湯が行き届きやすくなります。

1杯分のコーヒー粉の分量は、150mlあたり10〜15gが適量です。挽き加減や好みに合わせて調整してみてください。

3.お湯を注いで蒸らす

セットができたら、さっそくお湯を注いでいきましょう。

最初は少量のお湯を静かに注ぐのがポイントです。お湯が全体に行き届いたら、20秒〜30秒ほど蒸らします。しっかりと蒸らすことにより、コーヒーのうまみ成分を引き出すことができますよ。

4.抽出して完了!

蒸らし終わったら、必要な分量の水を3回に分けて注ぎ、抽出を行います。

表面の泡が消えてしまう前に、次のお湯を注ぎ入れるようにしましょう。サーバーに抽出液がすべて落ちたら、完了です。

ネルのお手入れ・保存方法

コーヒーをおいしくいただいた後は、ネルフィルターのお手入れ・保存を行います。

まず、ネルに付着したコーヒーの粉を水で洗い落とし、ネルを3回ほどお湯で沸騰させます。沸騰させることで、ネルに染みこんだコーヒー成分の除去と消毒ができます。

ネルを冷水に入れて冷ましたら、そのまま水に漬けた状態で冷蔵庫内に保管しましょう。水は次に使用するまで、毎日取り替えましょう。

手間のかかる作業ではありますが、この作業をサボってしまうと、雑菌の繁殖や味を損なう原因となるので必ず忘れずに行いましょう

ネルドリップの注意点

最後に、ネルドリップをするにあたって、気をつけたいポイントを3つ紹介します。

1.豆の挽き加減

粉がお湯と触れている時間が長いネルドリップでは、挽き加減を中挽きまたは粗挽きにすることをおすすめします。粒が細かすぎると、「苦味」が強く出てしまうので注意が必要です。

2.新品のネルは必ず「糊おとし」をしてから

新たにネルを購入した際は、必ず「糊おとし」をしてから使用しましょう。

「糊おとし」とは、新品のネルに付いている「糊」を、5分ほど沸騰して溶かす作業を意味します。この時、余ったコーヒー液を使ってあげると、ネルにコーヒーが馴染みやすくなるのでおすすめです。

3.ネルのお手入れと交換

ペーパードリップと異なり、ネルは「コーヒー器具」のひとつですので、毎度のお手入れが欠かせません。お手入れをサボってしまうと、せっかくのおいしい味わいが損なわれてしまうので気をつけましょう。

また、ネルは永久的に使えるアイテムではなく、一般的に1〜2ヶ月の使用を目安とした交換が必要なアイテムです。もちろん、使う頻度やお手入れ方法にもよりますが、「繊維が弱ってきたな……」と感じたら、新品と交換するといいでしょう。

繰り返し使えるネルドリップは環境にも優しい

ネルドリップは、雑味を抑えたコクのあるコーヒーを淹れることができます。ペーパードリップと比べて準備とお手入れに手間がかかるので、「コーヒー器具のお手入れをしている時間が好き」といったコーヒー上級者におすすめです。

とはいえ、「環境への配慮」などといった理由でネルドリップにチャレンジしてみるのもいいでしょう。ネルドリップを取り入れて、いつものコーヒータイムをより楽しいものにしてみてくださいね。

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