自宅でカフェに負けないこだわりのコーヒーを楽しむには、「コーヒー豆をミルで挽く」というひと手間が欠かせません。この記事では、コーヒー豆の挽き方の基本を解説します。挽き加減によって味わいに大きな違いが出るので、使っているコーヒー器具や自分の好みの味わいに合わせて調整してみましょう。

コーヒー豆を自分で挽くメリットとは?

わざわざコーヒー豆を挽くのは手間がかかります。その「ひと手間」をかけてまで、コーヒー豆を挽くメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

自分の手で豆を挽く一番のメリットは、新鮮なコーヒーを「香り」と「味」で二度楽しめることです。実はコーヒーが香りを一番強く発するのは、お湯を注いだ時ではなく、「豆を挽いている時」なのだとか。コーヒー豆を挽いていると、まるで喫茶店のような香りが部屋中に広がり、リラックス効果もありますよ。

そして、コーヒー豆は粉にしたとたんに酸化・劣化が急速に始まるので、挽き立てこそがコーヒーをベストな状態で味わえるタイミングなのです。

また、自分好みのテイストや飲み方に合わせて味を調節できるのも、コーヒー豆を挽くメリットのひとつです。コーヒーは、たとえ同じ豆でもグラインドした時の粒の細かさによって味が大きく変化します。コーヒーの美味しさを追求したい本格派の人は、ぜひ豆を挽くところからこだわってみてください。

コーヒー豆の基本の挽き方

コーヒー豆を挽く作業は一見難しそうに見えますが、道具さえあれば実はとても簡単にできます。

好みのコーヒー豆とミルを用意する

まずは手元に、「コーヒー豆」と「ミル」を用意します。ミルには「手動式」と「電動式」があるので、好きなタイプをチョイスしてください。

時間をかけてゴリゴリと挽くプロセスを楽しみたい人は「手動式」、ラクに2〜3杯分のコーヒー豆を挽きたい人は「電動式」がおすすめです。こだわりのコーヒー豆とお気に入りのミルがあれば、気分もはずみますね。

ミルにコーヒー豆を入れる

続いて、ミルにコーヒー豆をセッティングします。一般的にコーヒー1杯分の水(150ml〜180ml)に対して豆10gが適量とされています。自分のマグカップの大きさに合わせて微調整しましょう。

ちなみに、コーヒー豆は大さじや計量器を使って測ることもできますが、コーヒー豆10gがぴったり測れるように作られた「コーヒーメジャー」があるとより快適です。

グラインドする

コーヒー豆をセッティングしたら、さっそくグラインドしていきましょう。手動式のミルを使う場合は、焦らずゆっくり、一定のスピードでハンドルを回すと上手にグラインドできます。

コーヒー豆の5つの挽き加減を理解しよう!

コーヒー豆の挽き方はとってもシンプルですが、「挽き加減」はとても奥が深いです。同じコーヒー豆でも、挽き加減を変えるだけで「味」と「相性の良い抽出方法」が大きく変化します。

豆の挽き加減は以下の5段階に分けられ、それぞれ粒の大きさと味わいが異なります。

 粒の大きさ味わい
極細挽きパウダー状苦味が強い
細挽き上白糖とグラニュー糖の中間苦味とコクが楽しめる
中細挽きグラニュー糖程度苦味と酸味のバランスが良い
中挽きグラニュー糖とザラメの中間苦味と雑味が出にくい
粗挽きザラメ状すっきりとした後味

基本的には、粒の大きさが細かくなるほど、濃厚な味わいになります。自分好みに挽けるように、それぞれの挽き加減をくわしく見ていきましょう。

1.極細挽き

極細挽きは、パウダーのように細かい粒が特徴です。苦味が際立つので、エスプレッソなどの濃厚で苦めのコーヒーに向いています。

2.細挽き

細挽きにおける粒度は、一般的に上白糖とグラニュー糖の中間くらいです。市販のレギュラーコーヒーよりもやや細かいので、「苦味」と「コク」を楽しみたい人におすすめ。また、水出しコーヒーとの相性が抜群です。

3.中細挽き

わたし達に一番なじみ深いのが中細挽き。「苦味」と「酸味」のバランスが最も良い挽き加減です。その味わいのバランスの良さから、市販のレギュラーコーヒーの多くは「中細挽き」となっています。

ハンドドリップでコーヒーを淹れる場合も、基本的には中細挽きがおすすめです。はじめはこの「中細挽き」で試してみて、次回から徐々に自分のテイストに合わせて調整していくと良いでしょう。

4.中挽き

中細挽きは、グラニュー糖とザラメの中間くらいの粒度です。サイフォンやフレンチプレスなどの粉がお湯に接する時間が長い抽出方法でも、苦味や渋みが強くなりすぎません。すっきりとした味わいが好みの人におすすめです。

5.粗挽き

中挽きよりもさらに渋み・苦味が抑えられ、すっきりとした味わいが特徴です。粗挽きでは濃度が薄くなるので、豆の量を通常の1杯分(10g)よりも少し多めに使うとより深い味わいが楽しめます。極細挽きとは一味違うコクを堪能できるので、ぜひ試してみてくださいね。

コーヒー豆をおいしく挽くポイント

最後に、コーヒー豆をおいしく挽くためのちょっとしたコツを紹介していきます。

飲みたい時に飲みたい分だけ挽く

コーヒーは粉状になると空気に触れる表面積が増えるので、酸化・劣化のスピードが速まります。コーヒー豆を挽いた状態での保管は、風味が落ちる原因となるので注意が必要です。

おいしいコーヒーを鮮度の良い状態で楽しむには、「飲みたい時に飲みたい分だけ挽く」のがポイントです。ひとりで飲むなら10g、ふたりで楽しむなら20gのコーヒー豆を、飲む直前に挽きましょう。

ちなみに、粉に比べると酸化・劣化はゆるやかに進むものの、豆の状態でも酸化は進みます。豆の酸化を防ぐために、密閉した状態で高温・多湿を避けて冷暗所に保管し、2週間以内に使い切ることをおすすめします。

粒の大きさは好みに合わせて均一に

コーヒー豆を挽く時は、「挽きムラ」がないように均一に挽くことが重要です。コーヒー豆は粒の大きさによって「苦味」や「酸味」が大きく変化するので、ムラがあると味の調節が難しくなります。

粒の大きさを均一にするためには、電動式のミルを使うことをおすすめします。手動式のミルを使う場合は、ハンドルをゆっくり一定の速度の速度で回すことを意識しましょう。また、手動ミルの形状や素材によって、均一に挽くためのコツが異なるはずです。お気に入りのミルでたくさん練習をして、コツをつかんでいきましょう。

挽いたあとはしっかりミルのお手入れを

コーヒー豆をいつでもおいしく挽けるように、挽いたあとは必ずミルのお手入れをしましょう。ミル本体や刃に付着したコーヒーの粉は、そのまま放っておくと酸化し、次に挽く新鮮な粉に混ざってしまいます。

とはいえ、使用後のお手入れが面倒でミルを使うのが嫌になってしまうようでは元も子もありません。そんな時は、挽いたあとに手軽にささっとお手入れができる「エスプレッソブラシ」がおすすめです。エスプレッソブラシは、安いものだと500円くらいで購入できます。

コーヒーミルで、こだわりの1杯を楽しもう!

自分で豆を挽いて丁寧に淹れたコーヒーは、コンビニやカフェでは味わえない贅沢さや特別感があります。お気に入りのミルで、じっくり時間をかけながら「自分に合った挽き方」を開拓していきましょう。難しく考えすぎず、香りを楽しんでリラックスすることもお忘れなく。

この記事で紹介した「5つの挽き加減」と「おいしく挽くポイント」を参考に、こだわりの1杯を楽しんでみてくださいね。

カテゴリー: 挽く