SDGsへの関心の高まりもあり、近年よく耳にするようになった「フェアトレード」という言葉。なんとなく言葉のイメージはつくけれど、詳しくはわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、いま注目を集めている「フェアトレードコーヒー」について詳しく解説していきます。

フェアトレードコーヒーとは? 

フェアトレードコーヒーとは、公正、公平な取引が行われたうえで販売されているコーヒー豆のこと。フェアトレード認証団体の基準をクリアして、認証を受けたコーヒー豆だけが、フェアトレードコーヒーと名乗ることができます。認証団体は、国際機関が運営しているものや独自団体など、複数あります。

フェアトレードとあえて認定するのは、フェアトレード商品であることを消費者にわかりやすく提示し、選んでもらえるようにするためです。フェアトレードは、生産国から継続して適正な価格で買い取ることで、生産者の自立を支援する目的があるのです。

なお、フェアトレードの対象となる商品は、数多く存在します。コーヒーのほか、お茶、バナナ、砂糖、布製品、サッカーボールなどがあります。世界のマーケットで、広範囲かつ大規模に取引される食品や布製品が対象となっているようです。

コーヒー生産者と消費者の関係

「公平な取引」が重視されるということは、それだけコーヒー豆は、不公平な取引が横行しているということに他なりません。

コーヒー豆の栽培地は、発展途上国とされるところがほとんどです。生産者は、コーヒー豆を売買する時、消費国の企業と取引する必要があります。先進国の企業の中には、コーヒー豆を安く買いたたき、とことん利益を追求するところも。

安い価格で買いたたかれてしまった生産者は、農園で働く労働者に、安い賃金しか払えません。結果的に、長期労働や児童労働などにもつながり、貧困から抜け出せない状況に。コストを抑えるために、必要以上の農薬を使って環境が破壊されるなど、環境の面でも様々な問題を生み出しています。このように途上国の生産者は、不利な立場に置かれやすいという現状があります。

こういった現状を変えようと、フェアトレードという取り組みが始まったのです。

フェアトレードコーヒーが選ばれている4つの理由

生産者に最低取引価格が保証される

コーヒー豆の取引は、おもにニューヨークとロンドンの国際金融市場で行われ、買い取り価格もここで決定されます。国際金融市場は投機マネーなども流入するので、高騰したり暴落したりと、激しく価格が変動します。しかも、国際金融市場で決定される価格は、コーヒー農家の収支とは関係なく、決められているのです。

追い打ちをかけるように、こうした市場の動向や販売ルートを持たない小規模農家は、中間業者に頼らざるを得ず、結果的に十分な利益を得られない状況に陥っています。

こうした状況を改善するために、フェアトレード認証団体では、買い取り価格について最低金額を設定しています。金融市場とは関係なく最低金額を保証することで、途上国の生産者が安定した生活を送り、良質な作物づくりに注力できるようサポートしているのです。

児童労働の抑制

コーヒー農園で働く労働者は、低賃金で長期間労働が強いられるケースが目立ちます。それでも生活が立ち行かない労働者は、子供も総動員して働かせるので、学校へ行けない子どもたちが増えます。

フェアトレードによって生産者に安定的な収入が入り、労働者にも適正な賃金が払われるようになれば、子どもを働かせるようなことはなくなるでしょう。

コーヒー栽培の長期的なサステナビリティ(持続可能性)

フェアトレードが実施されれば、途上国の生産者が、安定的な収入を得ることができるようになります。これによって、生産者、労働者ともに、自ら手で貧困から脱却することが可能です。労働意欲にもつながり、継続的なコーヒー生産につながるでしょう。

環境保護につながる

あまり知られていないかもしれませんが、フェアトレードは、賃金や労働者環境が良くなるだけでなく、環境にも優しい取り組みです。

フェアトレードコーヒーとして認定されるためには、農薬の使用禁止、CO2の排出量、土壌やゴミの管理にいたるまで、厳しい基準をクリアする必要があります。安全にコーヒーを栽培し、適切に保管することで、環境保護にもつながっているのです。

高いにはワケがある!すべては途上国の農家のため

フェアトレードコーヒーは、どうしても他の商品より価格が高くなってしまいがち。ですが、高いモノには高いなりの理由があります。フェアトレードは、そもそもコーヒー農園で働く人のために適正な賃金を払うことが目的ですので、人件費が高くなるのは当然のことでしょう。農薬を使わない環境にやさしい作物を育てるにも、それなりのコストがかかります。

フェアトレードコーヒーが高いのではなく、安く出回っているコーヒーが「安過ぎる」と考える向きもあります。安く仕入れるために、生産国の人々や地球環境を犠牲にしていては、いずれどこかで無理が生じてしまうでしょう。

フェアトレードは、寄付のような一時的な支援ではなく、対等なパートナーとしてお付き合いをしていくことで、コーヒー栽培自体を継続可能なものにしているのです。

フェアトレードコーヒーの見分け方

フェアトレードコーヒーは、ほとんどの商品パッケージに「フェアトレード認証ラベル」が付いています。ラベルの有無でフェアトレードコーヒーか区別が可能です。ラベルは下記の3種類があります。

  1. 国際フェアトレード認証ラベル
  2. 世界フェアトレード機関(WFTO)による認証ラベル
  3. 企業や他団体独自の認証ラベル

フェアトレードは、基準となる法律がありません。よって、各団体がそれぞれの基準を設定して、認証を行っているのが現状です。上記1および2は、世界的規模のメジャーな団体で、基準も明確なため安心感があります。ほかにも、企業などが独自の基準を設定し、フェアトレード認証ラベルを作成して使用しているケースもあります。

コーヒーを通して社会貢献を

自分が口にするものや身につけるものを意識的に選ぶことは、遠く離れた生産国を助ける社会貢献活動にもなり得ます。普段なにげなくコーヒーを買っている人も、次に豆を購入するときは、フェアトレードマークが付いているかチェックしてみてはいかがでしょうか。

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