2022年12月中旬から2023年1月中旬まで、夫と2歳の娘と家族3人で南太平洋を周遊してきました。中でも強く印象に残っているのが、バヌアツ共和国タンナ島で、とある村にステイさせていただいたときの思い出です。

電気も水道もない村で6日間過ごし、日常ではできない貴重な体験をたくさんさせてもらいましたので、その思い出を振り返ってみようと思います。

バヌアツ共和国タンナ島に行ってきた

訪れたのは、バヌアツ共和国南部にあるタンナ島。タンナ島は、活火山であるヤスール山も有名で、ワイルドな自然が体験できると観光客からも人気の島です。

私たちがこの島に行こうと思った理由としては、バヌアツ共和国の中でも肥沃な土壌を持ち、コーヒー豆の生産を行なっていると聞いたため、畑や生産現場を見るという目的もありました。

空港のロビー

移動は国内線。ポート・ビラから約40分のフライトで到着します。

地元の人で賑わうホリデーシーズンのタンナ島

広場で休憩する地元の人たち

タンナ島は観光地にもなっているので、数件のリゾートホテルやコテージがあります。しかし今回は、限られた予算でやりくりしないといけなかったので、Airbnbでかなり安く出していたホストにお世話になることにしました。

空港まで迎えに来てくれたホストの車に乗り込み、宿へ向かいます。

途中にある広場に立ち寄り、商店で買い物などを済ませて、少し休憩することに。

広場は地元の人でごった返していました。普段からこんな感じなのかなと思っていましたが、ホスト曰く、1年で1番人が多いんじゃないかとのこと。それもそのはず、到着したのは12月23日(金)で、クリスマス前の金曜ということで、多くの人が家族へのプレゼントを買ったり、クリスマス用の食材を調達したりしていたようです。

「あなたたちの荷物、宿まで持っていくよ。後で迎えに来るから買い物とかランチとかしてて〜」と言われ、ホストと一旦別れます。

30〜40分ぐらいで来るものだろうと思っていましたが、1時間過ぎても来ない。電話すると、「すぐに行くよ〜」と言ったまま、来ない(笑)。結局2時間待ちぼうけでした。娘はお菓子を食べたり広場で遊んだり、それなりに楽しんでくれていたのでよかったですが、大人はぐったりでした(笑)。

アイスクリームを食べる村人たち

ようやく迎えに来てくれたホストと、いよいよ宿へ向かいます。

メインロードから一本中に入ると、でこぼこなオフロードになり、さらにそこから車1台がやっと通れる獣道のような細い道をかき分けて奥に進んでいきます。

ジャングルの中を突き当たりまで行くと、ようやくホストが住む村に到着です。宿は、ホストが暮らす集落の空き部屋を貸してもらう形なので、ローカルな村の人々との共同生活を体験することができます。

とても原始的で資源に限りのある場所でしたが、ホストは彼らができ得る限りの最大限のおもてなしをしてくれているのが伝わってきたので、安心して滞在することができました。

「何もない」を楽しむ村の生活

ツリーハウス

村の入り口にあるツリーハウス。気分は「世界ウルルン滞在記」です。ここから、約1週間の村生活が始まります。

電気は太陽光で自家発電

村には電気は通っておらず、屋根の上に付けられた小さなソーラーパネルからわずかばかりの電力を拾って生活をしています。滞在した時期は雨季だったので、雨も多く、そんなときはほぼ電力を使えません。4日目にはスマホやパソコンの電池も完全に切れてしまったので、持っていっていた本を読んだり、娘とおもちゃで遊んだり、ゆっくり時間を過ごしました。

ただ、YouTube中毒だった娘はスマホの電池が切れた途端にパニック状態になり、それはそれは大変でした。

洗濯機もないので、手洗いです。

お母さんにやり方を教えてもらって、1時間かけて洗濯。皮脂と汚れで水がすぐに濁ってくるのがわかり、洋服ってこんなに汚いんだ〜と改めて実感します。

洗濯物

時間もかかるし、手も腰も痛くなります。家族全員分の洗濯物を毎日洗うのはすごい重労働だろうなあ。

雨水をそのまま生活用水に

雨水を貯水する大きなタンク

水道も井戸もありません。村にいくつか貯水用の大きなタンクがあり、屋根の雨どいから雨水を溜めて生活用水にしています。聞くところによると、濾過もせずそのまま飲用しているとのこと。私もみんなと同じように飲んでいましたが、お腹を壊すことはありませんでした。

シャワーは、大きな桶とポリタンクの水で行水します。天気が良ければ、太陽がポリタンクの水を温めてくれて、お湯っぽくなりますが、滞在中は温かい水だったのは1日ぐらいでした。当然ドライヤーなんてものもあるわけがなく、自然乾燥です。

ちなみに、食器用洗剤を使う習慣がないのか、鍋や食器などは、砂で油汚れを落とし、水洗いしていました。びっくりしたなあ〜。

汲み取り式トイレ

寝室から少し歩いたところにトイレも作ってありました。深く掘った穴に便器がついていて、おそらく汲み取り式?なのか、そのままなのか、定かではありませんが、とにかく水栓式ではありません。トイレットペーパーはあります。大きなゴキブリと遭遇することもちらほら。でも不思議と匂いは強くなく、清潔感すら感じました。

私たちが使わせていただいたトイレはゲスト専用だと言っていたので、村の人たちはもっとワイルドなトイレを使っているのだと推測します。

Airbnbとして登録ができるぐらいなので、宿泊先として必要なものは一通り用意してくれているのでしょう。ありがたいですね。

娘もまだおむつだったので、トイレの心配をせずに済んだのでよかったです。

庭で採れたものを食べる自給自足生活

滞在中は基本的に食事を作っていただきました。裏庭で採れたイモを蒸して、これまた裏庭で採れた野菜を塩で炒めて出してくれる、そんな素朴な食事が心に沁みます。朝はパンとトロピカルフルーツ。幸せです。

村で作っていない野菜や肉・魚、輸入品(ヌードル、小麦粉、パンなど)は道路沿いにあるお店で買ったり、街で調達してきたりします。

動物たちとの共同生活

村には、人だけでなくいろいろな動物も一緒に暮らしています。犬、鶏、豚、アヒルがそこかしこに歩き回っています。動物たちもみんなで同じご飯を囲んでいて、ほのぼのします。道を歩けば馬や牛もお目見え。

ビビリな娘は、触りこそしないものの動物たちには興味津々で、毎朝「お散歩行ってブタさん見に行こう!」と村の生活を楽しんでいるようでした。

慣れない環境に困惑する娘

フィジーの村で似たような暮らしを体験したことのある私にとっては、今回のバヌアツの村体験は比較的受け入れやすく、どちらかといえば快適だと感じるほどのものでした。

しかし、娘にとっては、バヌアツ雨季の蒸し暑さに加え、スマホが使えない、いつものご飯が食べられない、温かいお風呂に入れない、日本語を話せる人がいない、と、ないもの尽くしの生活です。さらにイヤイヤ期も重なり、昼夜問わず泣き続け、夜泣きもあったりと、手がつけられない状況になることもしばしば……。相当なストレスを抱えさせてしまっているな、と反省の日々でした。ホストにもたくさん心配をかけました。

そんな中でも、家の前のサンゴで砂遊びをしたり、動物を見にお散歩したり、なんとか楽しみを見つけている様子が伺え、この滞在を通してかなり逞しくなったと感じます。

子供たちにもそれぞれ重要な役割がある

ホストの家族はご夫婦と子供5人。14歳の男の子は、私たちのためにフルーツを採ってくれます。9歳の末っ子ちゃんは、ナタで手際よくココナッツを切って、庭に生えている草のストローを刺してココナッツジュースをくれました。

ココナッツジュース

みんなシャイですが優しく働きもので、家族の一員として重要な役割を担っています。いつも大人顔負けの行動に感心しきりでした。

もちろん、みんな学校には行っていますが、家にいるときは、幼い頃から当たり前に家族の仕事を務める。人を助けたり、頼ったりすることに慣れているからこそ、困っている人を見かけたときに自然と手を差し伸べることができるんだろうな、そんなことを思ったりもしました。

足るを知る

自給自足の慎ましい暮らしから、持続可能性とは何か、人間が本当に必要なものとは何か、多くを考えさせられ、学ばせてもらいました。

お世話になったお母さんは、「日本はどんなところ?私はこの国から出たことはないの。子供たちの学費を工面するのが大変なの」と言っていました。それでも、お子さん全員をしっかり進学させ、長女はフィジーに留学させていたとのこと。そして、「自分自身は海外に行きたいとあまり思っていないの。私はここの暮らしがとても気に入っているんだ。世界中のゲストからいろいろな話を聞けるしね」と続けます。

私は、子供に広い世界を見せてあげたくて、今回の旅に娘を連れてきました。その意味では、この村での生活はひとつ大きな経験だったと感じています。そして、広い世界を知るには、海外を周るだけが全てではないことにも気づけました。お世話になったホストは、自分の故郷でおもてなしをしながら世界中のゲストと交流しています。そんな生き方も素敵ですよね。

多くを学ばせてもらったバヌアツの村に感謝。ありがとうございました。

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