コーヒー好きの人なら、きっと一度は耳にしたことがある「スペシャルティコーヒー」。でも実際にどんなコーヒーなのか、普通のコーヒーと何が違うのかを知っている人はあまり多くないのではないでしょうか。この記事では、スペシャルティコーヒーが “スペシャル” である理由と、その評価基準を紹介します。
目次
スペシャルティコーヒーの特徴
スペシャルティコーヒーとは
スペシャルティコーヒーとは、日本スペシャルティーコーヒー協会(SCAJ)による評価基準を満たした “消費者がおいしいと評価して満足するコーヒー” のことをいいます。日本スペシャルティコーヒー協会は、スペシャルティコーヒーが世界的に広まったことを受け、2003年に設立された協会です。
スペシャルティコーヒーの認定方法
認定では、後述する「味わい」に関する7つの評価基準に加えて、「トレーサビリティ」や「フレーバーホイール」を用いて点数がつけられます。「おいしいコーヒー=スペシャルティコーヒー」とは言えないところが、スペシャルティコーヒーの面白いところなんです。
トレーサビリティーとは
「トレーサビリティー」とは、コーヒー豆の生産から流通まで、追跡が可能なことを意味します。コーヒーとして提供された「最終形態」の味わいだけなく、農園の栽培環境や肥料・農薬の種類などに関する情報がオープンであり、消費者に安心して提供できることが求められているのです。
スペシャルティーコーヒーが「From Seed to Cup」の概念を大切にしているのはこのため。味わいや質に加えて「安全性の高さ」も同じくらい大切なポイントということですね。
フレーバーホイールとは
コーヒーの評価は、「ラズベリーのような果実の香りを思わせる~」といった、具体的な言葉で示されます。こういった表現に使われる言葉は、コーヒーの風味を細かく表す指標である「フレーバーホイール」が参考にされている場合があります。
「フレーバーホイール」とは、コーヒーのフレーバー表現に用いる「共通言語」のようなもの。SCAA(アメリカ・スペシャルティコーヒー協会)が定めたものを始め、他にもいくつかのフレーバーホイールがあります。
「酸味」「甘味」「スパイス」などの大分類から、中分類・小分類と細かくカテゴライズされており、これを元にカッピング(テイスティング)も行われるそうです。
コモディティコーヒーとの違いは?
そんなスペシャルティコーヒーは、普段私たちがスーパーで見かける「コモディティコーヒー」とは何が違うのでしょうか?
コモディティコーヒーは、要するに「大量生産・消費のコーヒー」なので、生産にあたっては安定した供給量が必要になってきます。「今年はコーヒー豆採れなかった……」と、すべてのカフェが閉まってしまっては困りますよね。
そのため、コモディティコーヒーは通常の農産物と同等の扱いをされることも多くあります。原産地の基準(豆のサイズ、欠点豆の数、産地の標高)で評価され、産地によってその評価基準はさまざまです。
一方スペシャリティコーヒーは、日本スペシャルティコーヒー協会独自の基準で評価され、選ばれたものだけが認定されます。具体的な評価基準に関しては、以下で詳しく紹介していきます。
スペシャルティコーヒーの7つの評価基準
スペシャルティコーヒーの評価は、欠点をチェックする減点方式ではなく、それぞれの項目がどのくらい優れているかをチェックする加点方式です。具体的には以下の7つを評価していきます。
1. カップのきれいさ
カップのきれいさとは、コーヒーを淹れた時に「汚れ」「欠点」がないことを意味します。つまり、コーヒーの液体がきれいに澄んでいるかどうかが大切ということ。
液体の透明性が低いと、産地特有の風味が感じにくくなるので、カップのきれいさはコーヒーの品質チェックに欠かせない項目なのです。
2. 甘さ
コーヒーチェリー収穫時の熟度、また熟度の均一さと深く関係する「甘さ」を評価します。ただし、糖分が高くても、雑味や苦味が強く「甘さ」が十分に感じることができない場合は、当然ながら評価が低くなります。
3. 酸味の特徴
コーヒーに欠かせない「酸味」を、その強さではなく「質の良さ」で評価します。消費者が酸味を不快に感じないよう、「爽やかでキレのある酸味」「繊細な酸味」にフォーカスして点数がつけられています。
4. 口に含んだ質感
酸味と同様に、質感の強さではなく、「粘り気」「密度」「濃厚さ」……といった口に含んだときの質感の品質を評価対象としています。
5. 風味のプロフィール
コーヒーの味わいと香りを総合的に見て、産地特有のプロフィールをチェックします。
一般的な味わいなのか、産地にあるべき独特な味わいが強く感じられるのかを評価基準としています。風味のプロフィールは、コモディティコーヒーと区別するにあたって、とても重要な項目です。
6. アフターテイスト
コーヒーを飲んだ後、口に残るテイストが心地よいものであるかを評価します。甘さと共に消えていくのと、嫌な後味が滲み出てくるのでは、コーヒーに対する評価が大きく異なります。
7. バランス
コーヒーの風味のバランスが取れているかを評価します。ひとつの風味が強すぎる、または欠けているフレーバーがある場合は、良い評価を得ることができません。
スペシャルティコーヒーは、コーヒー通も納得の味わい!
「味わい」「質」「トレーサビリティ」が本当に優れているものだけが、スペシャルティコーヒーとして私たちのもとへ届きます。そんなスペシャルティコーヒーの豆で淹れた1杯なら、コーヒー通もその良質な味わいに納得できること間違いなし。
「おいしいコーヒーが飲みたいな……」そんな気分の時は、ぜひスペシャルティコーヒーを手にしてみてはいかがですか?